How do you
let him cry?




「あ……ああ……」
 快感の余韻に弛緩する躯をロイはソファーに預ける。ハアハアと息を弾ませるロイを目を細めて見やると、ハボックは力の抜けた細い脚を押し上げ、双丘に手をかけた。白い双丘を割り開けば慎ましやかな蕾が覗く。微かに息づくそれにハボックはねっとりと舌を這わせた。
「……ッ、ヤッ!」
 ビクッと震えて僅かに身を捩るロイを押さえつけてハボックは蕾に浅く舌を差し入れる。ぬめぬめと舌を動かせばロイの躯が跳ねた。
「ハボっ、ヤッ」
 敏感な場所を這い回る濡れた感触にロイがもがく。だが、そんな抵抗も簡単に封じ込めてハボックは濡らした蕾に指を潜り込ませた。
「ああんんんっっ!!」
 太い指が潜り込んでくる感触にロイは息を荒げる。ハボックは沈めた指をぐちゅぐちゅと掻き回しながら指の数を増やしていった。
「く……ぅあッ!」
 身悶えるロイを押さえ込んで蕾を十分に解すと、ハボックは指を引き抜く。ロイの脚を胸につくほど押し上げて、ハボックは己のボトムを緩めた。その途端、もうすっかりと準備を整えた楔が待ちかねたように顔を出す。ハボックは戦慄く蕾に滾る楔を押し当てた。
「挿れるっスよ……」
 興奮に掠れる声でそう囁いてグッと腰を突き出す。そうすれば唾液に濡れた蕾はゆっくりと花開いて太い楔を飲み込んでいった。
「ヒャアアアアッッ!!」
 ずぶずぶと押し入ってくる楔にロイは高い悲鳴を上げる。無意識に逃げを打つ躯を引き戻して、ハボックは一気に身を沈めた。
「アアアッッ!!」
「たいさ……ッ」
 ハボックは埋めた楔を入口近くまで引き抜くと再び一気に突き入れる。がつがつと激しく突き上げればロイの唇から甘い悲鳴が零れた。
「ンアアッッ!!ヒィッッ!!」
 みっちりと埋め尽くす楔で狭い肉筒を擦られてロイは喘ぐ。前立腺をぐりぐりと押し潰されて、ロイの躯が大きく跳ねた。
「ヒャアアンッッ!!」
 激しい突き上げと込み上げる快感にロイはポロポロと涙を零す。見開いた黒曜石を濡らす涙が突き上げに合わせるように宙に舞い、薄闇の中で鈍く光った。
「ヒゥッ!!アッ、アアアッッ!!」
 ガツンと思い切り突かれてロイの楔がタラタラと蜜を零す。躯の奥を抉られて、ロイはハボックの背を掻き抱いた。
「ヒィィッ!!」
 ハボックのシャツがクシャクシャになるほど握り締めてロイは身悶える。張りつめた楔がピクピクと震えて、絶頂が近いことを知らせた。
「ハボック……も、イく……ッ」
「待って、たいさ、もうちょっと……ッ」
 切なげに訴えるロイにハボックはそう答えると激しく抜き差しする。二人の腹の間で楔を擦られる快感と、後孔に加えられる悦楽とでロイは一気に上り詰めていった。
「ダメ、も……ッ、助けて……ッ、あ……ヒャアアアアアッッ!!」
 高い嬌声を上げてロイはびゅくびゅくと熱を吐き出す。それと同時に咥えたハボックをきゅうきゅうと締め付ければ、ハボックがロイの肩に顔を埋めて低く呻いた。
「くぅぅッッ!!」
 ガツンと最奥を抉りそれと同時に白濁を叩きつける。躯の奥底を焼く熱にロイは涙に濡れた目を大きく見開いた。
「あ……ああ……」
 忙しなく呼吸を紡ぐ唇をハボックのそれが塞ぐ。口内を乱暴に弄(まさぐ)る熱い舌に呼吸を奪われて、ロイの意識は闇の中へと落ちていった。


 翌朝。
「おはよーっス」
「ああ、ハボック少尉!聞いてくださいよッ!!」
 ガチャリと司令室の扉を開けたハボックはいきなりフュリーに突進されて空色の目を見開く。どうしたよ、とハボックが言う間も与えず、フュリーは青い顔で話し出した。
「僕、夕べ幽霊の声を聞いたんですッ!!」
「幽霊の声?」
 思いもしない話にハボックはプカリと煙草の煙を吐き出す。あまり信じてなさそうなハボックの表情にフュリーは必死の形相で言った。
「本当ですってば!ほら、この間以前ホスピスに使われてた洋館の話をしたでしょう?僕、夕べ寮に帰ろうとしてその前を通ったんですけど、その時ホスピスから幽霊の声が聞こえたんですッッ!!」
 それを聞いてハボックは思わず煙草を噛み潰してしまう。動揺しているのを押し隠して煙草を携帯灰皿に放り込むと、ハボックは新しい煙草に火をつけた。
「ええと、風の音を聞き違えたとか?」
「違いますよッ!ひぃぃっ、ひゃああっ、助けてって、細い声が聞こえたんですッ!絶対幽霊の声ですってば!!」
 両手を握り締めてフュリーは主張する。それを聞いたハボックは恐る恐る背後を振り向き、後から司令室に入ってこようとしていたロイを見た。
「大佐、幽霊の声ですって」
 そう言えばロイの肩がピクリと震える。そんなロイにもフュリーは同じ主張を繰り返した。
「本当ですよ、大佐っ、僕、確かに聞いたんですッ!なんかこう、すっごい甘ったるい声で───」
「フュリー曹長」
 フュリーが一気にまくし立てようとするのをロイが低い声で遮る。明らかに不機嫌なその声に口を噤むフュリーにロイは言った。
「今後司令部内では幽霊話は禁止だ」
「えっ?でも」
「いいな、全員幽霊話は禁止だ!」
 ロイはそう言って靴音も荒く執務室に向かって歩く。不満そうに見上げてくるフュリーにハボックが囁いた。
「大佐、実は幽霊が怖いんだよ」
「えっ?そうなんですか?」
 言われてフュリーが眼鏡の奥の目を丸くする。こそこそと囁きあう二人の声に、ロイは足を止めた。
「聞こえているぞ、ハボック」
 ロイはそう言うなり執務室の扉を開けよう伸ばしていた手をハボックに向ける。
「だから嫌だと言っただろうっ、私はッ!!」
 言うと同時に発火布をはめた指をすり合わせればハボックの煙草が消し炭になった。
「うわっ、危ねぇッ!」
「よけるなッ!!」
 すんでのところで焔をよけて司令室を飛び出していくハボックをロイが追った。
「どうしたんでしょう、大佐」
「幽霊を怖がっているのをバラされて怒ったとか?」
 突然の事に呆然として呟くフュリーにブレダが答える。ドタバタと遠ざかる足音と悲鳴を聞きながら、首を傾げるフュリー達だった。








yeux de bleu のみつきです。このたびは楽しい企画にお声掛け頂きましてありがとうございました!
初めての経験に嬉しくてホイホイ参加を決め、夏ということで最初に思い浮かんだのが「肝試し」だったので安易に「コレで」と書き始めたものの……己の文章力のなさに打ちのめされる結果となりました(苦)やたら長いばかりでちっとも怖くないったら(汗)すっかりお目汚しになってしまって申し訳なくゴニョゴニョゴニョ……。一応ロイを叫ばせる方法───肝試しとエッチってことで。
拙宅ではハボック激ラブでハボロイと、ハボロイとは全く性格の違う二人でロイハボを書き綴っております。ハボロイの方ではハボックが王子様だったり錬金術師だったり、ロイハボでは娼婦だったり子ハボだったりと、原作ベースに加えかなりパラレル色の強い作品も扱っています。いずれの作品でもハボックとロイへの愛だけはたっぷり込めておりますので、よろしければ是非是非遊びに来てやってくださいませv


みつき / yeux de bleu*R18 [肝試し]